キネマ倶楽部
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2022年9月10日
下北沢に月が降りてきました!
沢山の人が集まっていましたが、フェリーニのボイス オブ ムーンを思い起こした人はいたでしょうか?
私が見た印象では、月の声を聞こうとした人はいなかったようです。
今の世の中、月も沈黙するしかないかもしれないですね。
2022年8月15日
メーテルの眼差し
8月15日、敗戦から77年。かつては、新聞 テレビ 映画 この時期になれば、こぞって特集を組み発表してました。それが1970年代をピークに下火になり、特に映画界は8月を意識してイベントを行う事は、最近なくなりました。
そんな中、NHKが 二十四の瞳 を放映しました。壺井栄の原作となっていましたが、見る限りでは木下監督の影響が強いように思われました。それほど高峰さんの映画は、強い印象を残しました。だから、何度も制作されました。

そして八千草薫さんが1972年芸術座公演で、大石先生を演じられました。それを見て、大変感動したのを覚えてます。
文字通り、その瞳に深く打たれたのです。勿論子供たちの目なんかではなくて、八千草さんの眼差しに捕らえられたのです。
今振り返れば、他の出演者を覚えていない始末です。何の事はない、只のファンに過ぎなかったという落ちです。

後年、その眼差しを全く関係ないと思える映像で感じました。銀河鉄道999のメーテルの瞳がそうです。メーテルには、八千草薫さんの面影が強く反映されていると思います。松本零士さん、宝塚時代から八千草さんの御贔屓だったんですね。

戦後77年、二十四の瞳は何をどのように捕らえ、何を見出だしてきたのか?大石先生は子供たちを見守って来たわけですが、彼等も彼女を慕い続け、やがては子供たちが大石先生を見守る立場になっていきます。
かつて、大石先生は戦地に教え子を送り出し、そして遺骨となった彼等を迎えいれる事になります。その時の恩師の表情を、教え子たちは心理として理解する迄に成長します。

八千草薫さんは、映画の子供たちの設定の年令より10才若いですが、高峰さんはほぼ同年令です。2、3才若いのかな。つまり、あの子供たちが見てきたものを同世代として彼女も経験しているわけです。実際に戦争を見て、経験した人々の存在が少なくなって来ています。
私たちは、高峰さんたちの眼差しから色々な事を想像して、その経験を測ろうと努力してきましたが、どこまで理解出たのか。
松本零士さんは1938年生まれ、戦争を体験しておられる。大石先生の眼差しを間近で体験してこられた世代です。メーテルの眼差しにその感情が現れていると考えるのは、深読みでしょうか?
それにしても、我々の眼差しは今の世代に、どのように映っているのでしょうか?

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